会社法会計の経緯
明治23年旧商法成立
○日本で最初の法律学上の企業会計規定を設置。
明治32年商法成立
○今日の日本商法の母法となる商法が成立。すべての商人が尐なくとも毎年1回、すべての財産に関する財産目録と、貸借対照表を作成すべきことを要求。
昭和37年商法改正
○財産法的立場から収益法的立場へと転換。取得原価基準を原則とすることで実務的な負担の軽減を考慮。
昭和49年商法改正○初めて会計包拢規定として「公正ナル会計慣行ヲ斟酌スベシ(第32条2項)」を規定。
平成10年「商法と企業会計の調整に関する研究会報告書」(大蔵省・法務省)○「要求される情報に差異があるとしても、財産計算及び利益計算は基本的に一致するように調整されてきた」、「商法における計算規定と企業会計とは相互に密接に関係し、両者が相まって我が国の会計実務が形成されてきた」として、商法と企業会計の接近について言及。また国際的観点から会計情報の比較可能性が求められており、会社実態を適正に表すための措置として金融商品の時価評価の導入を提言。
平成11年商法改正○前年の「商法と企業会計の調整に関する研究会報告書」を受けて金融商品の一部について時価評価を導入。
平成13年商法改正○計算書類の公開について、自社ホームページ等によるインターネット公開が認められた。これにより従来の新聞・官報による公告と比較して実施コストが大幅に減尐し、特に中小企業にとってはディスクロージャーを現実的に行う環境が整備。
平成14年商法改正○会計基準の制定・改定に機動的に対応できるよう計算規定を省令化。また、商法特例法上の大会社に連結計算書類の作成を義務付け。
平成17年商法改正○「商法」から「会社法」へと全面改正。商法にあった包拢規定は「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うもの(第431条)」として規定。会社計算規則第3条では「一般に公正妥当と認められる企業会計の基準その他の企業会計の慣行を斟酌しなければならない」とした。
金商法会計の経緯
昭和23年証券取引法成立
昭和24年企業会計原則設定(経済安定本部企業会計制度対策調査会)
○商法計算規則との調和を図り、昭和29年、38年、49年、57年と4度の改正。同時に「財務諸表準則」公表。
昭和25年証券取引法改正
○「この法律の規定により提出される貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類は、証券取引委員会が一般に公正妥当であると認められるところに従つて証券取引委員会規則で定める用語、様式及び作成方法により、これを作成しなければならない。」(証券取引法193条)
○同年、財務諸表準則を法制化し、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下、財務諸表規則)」制定。
昭和27年企業会計審議会成立
○経済安定本部から大蔵省に移管。
平成9年~会計ビッグバン
○国際的調和を推進し、一連の新会計基準を導入。
平成13年財務会計基準機構(企業会計基準委員会)設立
○米国等の体制等を参考としつつ、会計基準の設定主体を企業会計審議会から民間主体へ移行。
平成18年金融商品取引法成立
○「この法律の規定により提出される貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類は、内閣総理大臣が一般に公正妥当であると認められるところに従つて内閣府令で定める用語、様式及び作成方法により、これを作成しなければならない。」(金融商品取引法193条)
○「この規則において定めのない事項については、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うものとする。」(財務諸表規則1条1項)
○「金融庁組織令(平成十年政令第三百九十二号)第二十四条第一項に規定する企業会計審議会により公表された企業会計の基準は、前項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に該当するものとする。」(財務諸表規則1条2項)
○「企業会計の基準についての調査研究及び作成を業として行う団体であつて次に掲げる要件のすべてを満たすものが作成及び公表を行つた企業会計の基準のうち、公正かつ適正な手続の下に作成及び公表が行われたものと認められ、一般に公正妥当な企業会計の基準として認められることが見込まれるものとして金融庁長官が定めるものは、第一項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に該当するものとする。」(財務諸表規則1条3項)
○「金融庁長官が、法の規定により提出される財務諸表に関する特定の事項について、その作成方法の基準として特に公表したものがある場合には、当該基準は、この規則の規定に準ずるものとして、第一項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に優先して適用されるものとする。」(財務諸表規則1条4項)