設立趣旨書
企業会計は、企業の経営成績、財政状態の情報を得るための有力で最大のシステムである。そのシステムも正しく真実が公開されなければ全くの意味をなさない。しかし、企業は営利追及が目的であり、人も本質的には営利第一主義であろう。そのために人は、往々にして利益を求め過ぎて不正に働くこともあり得るであろう。企業と人の本質を理解して、会計制度の法による規制が必要になるのである。
会計に関する学会は歴史のある多くの組織があり研究者も多く活発に活動を続けてきている。そんな中にあって当学会は、金融商品取引法に目を向け、かつ新たな視点に立って新たな会計の体系を確立する目的をもって研究活動を展開するためにスタートを切ったのでのである。
一方、行政書士という法律専門職が最近注目されつつあるが、行政書士は行政手続きの専門家すなわち法律家であるが片面で会計の専門家でもある。行政書士法によると、事実証明に関する書類の作成を業とすることができる。この会計の総決算書である貸借対照表は、財政状態という事実を証する書面であり、損益計算書は経営成績という事実を証する書面である。このことから、行政書士が財務諸表作成の専門家であり会計の専門家と言えるのである。
さらに、今月6日に行政書士法の一部改正が国会で可決成立した。改正前は、行政書士以外に禁止している書類作成業務は無報酬なら合法とされていた。改正法でも同様であるが、規制が厳しくなり、コンサルタント料等の「いかなる名目をもってしても」報酬を得ていれば違法とされることに改正されたのである。従って、新規上場申請、有価証券報告者等の作成は、行政書士の独占業務であり、印刷会社、コンサルタント会社が受託することはできないことが明確化されたのである。
そこで、行政書士有志は研究者に協力を求め、行政書士と研究者とで共同し当学会を設立することを決意したのである。この学会の特徴は、法律家である行政書士の目で研究者と共に会計研究をすることにある。金商法会計は、体系的には法規に基く会計、即ち法規会計の分野である。その点でも行政書士が金商法会計の専門家足りうる資格があると考える。
いずれにしても、この学会が、新たな会計学の研究活動を展開し、市場に或いは投資家に企業に貢献できるように最善の努力をする所存である。
令和7年6月8日
日本金商法会計学会 発起人一同